超訳文庫【仏教説話】拝火教徒とブッダ

東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。
意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。

HOME > 拝火教徒とブッダ

超訳【仏教説話】

拝火教徒とブッダ

2007.9.21

ある日のことです。

拝火教のバラモンが自宅で聖火をともして勤行に励んでいると、向こうの方から物乞いをしながらやってくるブッダが目に入りました。

バラモンは怒鳴りつけました。

「出たな、このスキンヘッドのインチキ野郎!
ここはオマエみたいな汚らしい乞食の来る場所ではないというのがわからんのか!?
あっちへ行け!シッシッ!!」

ブッダは構わずにづかづかとやってくると、バラモンにこう言いました。

「おやおや、こりゃまた、えらく嫌われたもんですなぁ。
あなたは今、「インチキ」とか「汚い」とかおっしゃったと思いますが、それではお尋ねしましょう。
あなたの「インチキで汚らしい」人の定義とはどんなものですか?
また、「インチキで汚らしい」人を「インチキで汚らし」くしているものは、いったい何だとお考えなのでしょう?」

バラモンは言いました。

「うーん・・・
そう言われてみると、うまく説明できないなぁ。
オマエさん、説明できるのかい?」

ブッダは言いました。

「うむ、それではご説明しましょう。
いいですか?
それはつまり、こういうことです。

気が短くて恨みがましく、ヒマさえあればわるだくみをしているような人、それが「インチキで汚らしい」人です。

生き物(人間、動物、昆虫など種別を問わず)を殺して、なんとも思わない人、それが「インチキで汚らしい」人です。

ほかの町や国を武力で制圧しようとする人、それが「インチキで汚らしい」人です。

自分のものではないモノを見ると、ムラムラとかっぱらいたくなって実行に移す人、それが「インチキで汚らしい」人です。

人からモノや金を借りておいて、「返せ」と言われると「いや、オレは借りていない」などと言い張る人、それが「インチキで汚らしい」人です。

わずかの金品目当てに通り魔強盗を働く人、それが「インチキで汚らしい」人です。

自分のため、他人のためのいずれかを問わず、法廷で偽証する人、それが「インチキで汚らしい」人です。

合意のあるなしを問わず、他人の奥さんを寝取る人、それが「インチキで汚らしい」人です。

生活に余裕があるのに、要介護状態の親の面倒をみない人、それが「インチキで汚らしい」人です。

家庭内暴力(肉体的か精神的かを問わず)をふるう人、それが「インチキで汚らしい」人です。

他人に有利なことは一切言わず、不利になることならあることないことしゃべる人、それが「インチキで汚らしい」人です。

悪いことをしておいて、「バレないように」と願う人、それが「インチキで汚らしい」人です。

ご馳走してもらっておきながら、決してお返ししようと思わない人、それが「インチキで汚らしい」人です。

バラモンや乞食をだます人、それが「インチキで汚らしい」人です。

食事時なのに、汚いことばで怒鳴りつけて食事を与えない人、それが「インチキで汚らしい」人です。

自分だけが偉くて、他人はみなアホだと思っている人、それが「インチキで汚らしい」人です。

他人に迷惑をかけ、欲張りで、ケチでウソツキなくせに、人から尊敬されたいと願い、自ら恥じるところのない人、それが「インチキで汚らしい」人です。

覚醒者(ブッダのこと)の悪口をいう人、それが「インチキで汚らしい」人です。

実にしょうもない野郎のくせに、自分は聖人だと言い張って他人からむしりとろうとする人、これはもう最低の「インチキで汚らしい」人です。「ドロボウ」と呼ぶべきです。

人はその生まれた家柄などによってさげすまれるのではありません。

人はその生まれた家柄などによって尊ばれるのでもありません。

人はその行為によって、さげすまれたり尊ばれたりするのです。

あなたはあのマータンガという人の話を聞いたことがないのですか?

マータンガは最下級のカースト出身で、犬を撲殺する仕事に従事していましたが、そのずば抜けた徳行によって、最上級のバラモンや王侯貴族の尊敬を一身に集めました。

逆に、立派なバラモンの家に生まれておきながら、実にくだらない素行が露見して皆にバカにされている人も、しばしばいるようですね。

もう一度言いましょう。

人はその生まれた家柄などによってさげすまれるのではありません。

人はその生まれた家柄などによって尊ばれるのでもありません。

人はその行為によって、さげすまれたり尊ばれたりするのです。」

拝火教徒のバラモンは、それを聞くと言いました。

「・・・いや、恐れ入りました。
よろしければ私を弟子にしてくださいませんか?」

出典:スッタニパータ

メニューの使い方

以下のメニューバーをクリック⇒ ジャンルごとに開閉
画面左上の「超訳文庫」ロゴマークをクリック ⇒ 超訳文庫トップページへ戻る
メニュー上下の横長バーの「HOME」をクリック ⇒ 各コーナートップページに戻る


↓それでは、どうぞごゆっくり。

仏教系

中国の古代思想

昔の中国の人が考えたこと

諸子百家

LinkIconおもしろ論語(孔子)
LinkIcon老子
LinkIcon荘子
LinkIcon列子
LinkIcon孟子

四書五経

LinkIcon【大学】

日本の哲学・思想

日本が誇る大学者のご意見たち。
今のところ、明治維新期に活躍した人がメインです。
LinkIcon井上円了
LinkIcon【西国立志編】
LinkIcon富永仲基
LinkIcon内藤湖南
LinkIcon【風姿花伝】sintyaku3_red.gif

キリスト教系

キリストが生まれるよりも昔から、「神」と人との間にはいろいろあったのです・・・

旧約聖書

LinkIcon【旧約の預言者たち】

中国武術論

中国武術家である徐紀(Adam Hsu)老師の論文をご紹介。
LinkIcon【中国武術論】

ぶんのすけ文集

古典翻訳ではない、自作の文章を掲載します。「超訳文庫」の趣旨から外れますが、ご容赦くださいませ。
LinkIconぶんのすけ文集

書籍版のお求めはこちら

LinkIconぶんちん堂 Web Shop

超訳文庫のコンテンツを書籍化して頒布する企画です。
PC画面もいいけれど、じっくり読むにはやっぱり「本」がよいという方にオススメです。
目に優しく手ざわりのよい書籍用紙を使用。A5サイズです。
編集はもとより印刷・製本に至るまで完全に自家製ですので、仕上がりは工業製品には劣りますが、「手作りの味」だと思っていただければ幸いです。

ぶんちん堂 Web Shop 公式ブログ

LinkIconぶんちん堂 Web Shop 公式ブログ

超訳文庫の書籍化・通販などを手がける奇特集団、「ぶんちん堂」スタッフによる活動の記録やお知らせ。
当サイト管理者のぶんのすけも「作家」として登場します。