超訳【無門関】
第48話 涅槃への一本道 原題「乾峰一路(けんぽうのいちろ)」
ある坊さんが乾峰(けんぽう)和尚に質問しました。
「テキスト(経)には、「全ての仏さまは、皆ただひとつの路(みち)を通って涅槃に入られた」と書いてありますが、その「路」っていったいどこにあるんでしょうか?」
乾峰和尚は杖を手に取ると空中にサッと線を引き、こう言いました。
「ホレ、ここじゃよ!」
またある時、この坊さんは雲門和尚に同じ質問をしてみました。
雲門和尚は持っていた扇子を掲げて言いました。
「この扇子はビューッとシュメール山(須弥山)の頂上まで飛び上がって帝釈天の鼻にアッパーカットをくらわせるし、シュメール山の東の海に住んでいる巨大な魚がバシャッと跳ねれば天まで届くほどの水しぶきがたつんだぜ!」
さぁ、大変なことになったな。
寝技が得意なヤツと投げ技が得意なヤツの大乱闘だ。
皆、その剣幕にビビッちまって巻き添えを食わないように逃げ惑うばかり。
おい、誰か彼らに立ち向かっていく気概のあるヤツはいないのかい?
しかしまぁ、この二人が「一路」を知っているのかというと、はなはだ怪しいもんだがな。
足をあげる前に到着し、舌を動かす前に言い終わる。
それができたところで、究極の決め手はまだまだ先にあるということさ。

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