超訳【無門関】
第41話 心の安らぎとは 原題「達磨安心(だるまのあんじん)」
今から1500年ぐらい昔のことです。
インドから来た「ダーマ(達磨)」という名の偉い坊さんが、壁に向かってムッツリと座リ続けているという噂を聞きつけた慧可(えか)という若い修行僧が、噂のお寺にやってきました。
慧可は壁に向かったままのインド僧に呼びかけます。
「お願いです。どうか私を教え導いてください!」
インド人は無言です。ピクリとも動きません。
「お願いです。何とか言って、私の迷いを解いてくださいませ!」
インド人、あいも変わらず無反応です。
壁に向かったままのインド人に、ひたすら庭先から呼びかけ続ける若い中国僧。
もうどれぐらいの時間が過ぎたでしょうか、あたりは薄暗くなり、おりしも雪が降り始めました。
庭先にいる中国人の上には雪が積もり始めます。
このままではダメだ・・・・・・
中国僧慧可は、思い余って自分の片腕を切り落としました。
白い雪に飛び散る鮮血。
顔面蒼白になりながらも、慧可は切り落とした自分の片腕を残った手で拾い上げるとインド僧達磨に訴えかけました。
「・・・・・・私の心はフラフラとさまよい、一時も落ち着くことができません。
お願いです。
どうか私の心に安らぎを与えてください!」
と、達磨さんが初めて口を開きました。
「お前の心だって?
わかったよ、安らぎを与えてやろう。
すぐにここに持ってきなさい。」
慧可はこたえました。
「そ、それが・・・・・・
ずっと捜し求めているのですが、どこにあるのか見つけることができないのです。」
すかさず達磨さんは言いました。
「じゃあ、もう安心だな!」
全くこのインドのジイサンときたら・・・・・・
遥か彼方からやってきたと思ったら、折角風もなく穏やかだったところに大波を起こしやがって!

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