超訳【無門関】
第35話 幽体離脱? 原題「倩女離魂(せいじょりこん)」
法演(ほうえん)和尚が言いました。
「「離魂記」ってあるじゃない。
昔、倩女(せいじょ)という娘が恋人と駆け落ちして、5年後に正式に結婚を認めてもらうためにこどもを連れて実家に帰ってみたところ、なんとそこには、もうひとりの倩女がいたっていう話。
しかも実家にいた方は5年前から植物状態で寝たきりだったというんだけど、両者は出会うなり合体して元の倩女に戻ったというやつ。
あれさ、抜け出ていた魂と寝ていた肉体、どっちが本物の倩女だと思う?」
もしもこれに答えることができるなら、人はみな殻から殻へと移動し続ける旅人に過ぎないということがわかるはずだ。
なんのことかわからない、というのであれば、まぁ、むやみに走り回るのだけはやめた方がいいだろう。
そんなんでは突然死ぬことになった時、鍋の中に投げ込まれた蟹のようにジタバタするばかりだろうから。
その期に及んで「聞いてないよ!」とか叫んでみても始まらないだろう?

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