超訳【無門関】
第11話 趙州和尚のオーディション 原題「州勘庵主(しゅう、あんじゅをかんず」
悟りを得たにもかかわらず、それをもって他人を感化・教化することをせず、悠々自適の隠遁生活をおくっている人(=「庵主(あんじゅ)」)がいるというので、早速、趙州和尚が出向いていきました。
ある庵の前で呼ばわっていわく、「おーい! 最近どうよ!」。
庵の主は、黙って拳を上に突き上げました。
それを見た趙州和尚、
「ああ、こりゃ浅過ぎる。舟も泊められやしない。」
と言ったきり、振り向くとよそへ行っちまいました。
さて、また別の庵の前にやってきた和尚、呼ばわっていわく、「おーい! 最近どうよ!」。
ここの庵主も、先の庵主同様、黙って拳を突き上げました。
それを見た趙州和尚、
「ああ、与えるも奪うも自由。
活かすも殺すも自在。
いいーねぇ、まさに「自由自在」だ!」
と言って、頭を下げられました。
二人とも同じ対応だったのに、和尚は何故、片方を褒め、片方を無視したのか?
その理由を一言であらわすことができたなら、この和尚の必殺テクをマスターしたと言ってもいいだろう。
でもさ、考えてもみなよ。
これって実は、趙州和尚が逆に、庵主に正体を見破られちまってるっていう見方もできるんじゃないか?
「庵主の側に何とかして優劣を見出そう」とかいうレベルの低い考え方しかできないようでは、ハッキリ言って見込みナシだね。
流れ星のように目ざとくて、
まるでイナヅマのように瞬速。
これぞまさに、人殺しの刀、
そして人を活かす剣だ!

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