超訳【無門関】
第5話 香厳和尚は樹の上で 原題「香厳上樹(きょうげんじゅにのぼる)」
香厳和尚が言いました。
「例えばさ、大きな木に登ってるとするじゃん。
で、口で枝をくわえて、両手両足を枝から離すわけ。
そうやって口だけでぶら下がっている時に、下から人が質問してくるわけよ。
「おーい! ヤツは何でまたインドからわざわざこの国にきたんだろうね?」って。
聞かれた以上、質問には答えなければいけないよね。
でもさ、口を開いて答えようとしたら、木から墜落して、一発で死んじまう。
さぁ、そんな時、あなたならどうする?」
・・・・・・知らんがな、そんなこと。
確かにそうなったら怒涛の弁舌力も役に立たない。
仏教典を全部暗記していたところで、まるで使えない。
まぁしかし、このシチュエーションを余裕でクリアするテクを持っているようなヤツなら、死人をサクッと生き返らせるだけでなく、その辺をほっつきあるっている奴らなんて、一瞬で皆殺しにできるだろう。
逆に、「まるっきり見当もつかない」というのであれば、五十六億七千万年後に弥勒菩薩が降臨するらしいから、その時にでも答えを聞きな!
それにしても、だ。
香厳和尚のでまかせには困ったものだ。
たくさんの人が迷惑していて、実に始末におえない。
坊さんたちの口をふさいでおいて、自分は身体中の眼を見開くとはなぁ・・・・・・

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